陶氏診療院

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未病の対象は「病気」か「人」か
「未病」という概念は、約2000年前に中国医学から生まれました。しかし、その後2000年の歴史の中で、西洋医学と中国医学の視点の違いから、未病には二つの考え方が生まれています。

まず、西洋医学は「病気」を研究する科学です。そのため、西洋医学における未病とは、

健康と病気の中間の状態① 自覚症状はないが検査で異常がある状態;② 自覚症状はあるが検査では異常が認められない状態の両方を指します。

ここでは、人を「健康・未病・病気」の三つに分類し、未病はあくまでその三分の一に相当します。つまり、西洋医学の未病はまだ病気になっていない「一部の人」を対象とした概念です。そのため、「健康な人」や「明らかな病気の人」は対象外となります。

一方で、中国医学は「病気」ではなく 人そのものを研究する哲学・医学 です。そのため、中国医学における未病とは、未来の病気、現在だけでなく、過去・未来を含めた“人の全体状態”を捉える概念です。

未来に起こりうる病は「未病」と考えるため、明日病気になる可能性のある人も、今は健康に見える子どもも、すべて未病の対象となります。つまり、中国医学の未病は 「全人類」を対象とする広義の概念 です。

  比較項目      西洋医学の未病        中国医学の未病
  研究対象         病気           人
  未病の範囲 健康と病気の中間の一部 すべての人の「未来の病」まで含む
対象となる人   三分の一の人(未病者)     全人類
医療の目的  病気の早期発見・管理 病を生まない身体と生き方の形成(治未病)

私は、中国医学の広い未病の概念に基づき、すべての人に治未病の思想に立った医療サービスを提供しています。
そして、今月と来月の学会でも、この視点を多くの方と共有し、広めていく予定です。
2025-11-08