陶氏診療院

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企業寿命と健康寿命
日本は世界的に見ても長寿企業が多い国として知られています。最古の企業といわれる金剛組(578年創業)をはじめ、創業200年以上の老舗企業の半数以上が日本に存在します。この日本の「企業の長寿」は、皇室の万世一系に象徴される社会の連続性、農本主義的な資産の維持、婿養子を含む柔軟な後継者制度、「家業」を守り伝えるという文化的価値観など、複数の要因が組み合わさって生まれています。

しかし、すべての企業が長く続くわけではありません。帝国データバンクの調査によると、創業1年後の企業生存率は約97%ですが、5年後には82%、10年後には70%、そして20年後には約50%まで低下します。特にベンチャー企業に限ると、5年後15%、10年後6.3%、20年後には0.3%と、さらに厳しい数字が示されています。2024年の倒産企業データでは、倒産企業の平均寿命は約23.2年でした。これらの数値は、企業経営の持続がいかに容易ではないかを物語っています。

一方で、日本は健康寿命と平均寿命においても世界有数の国です。企業寿命と個人の健康寿命に直接的な関係があるかどうかは一概に言えませんが、「持続する力」「無理をせず継続できる仕組み」「身体と組織のバランス」といった共通する要素が存在しているように感じられます。

陶氏診療院は今月で設立28年目を迎えました。30年目には院長交代を予定しており、「もうすぐ代が変わるのか」と感慨深く思うところです。創業者の理念がどこまで組織に浸透し、時代に合わせて進化していけるかどうかは、その企業がどれだけ長く続くかに大きく影響します。

健康について言えば、中国医学の核心にある「治未病(予防)」の精神がどれほど社会に伝わっていくかは、まず私自身の健康、そして家族の健康、さらに診療院に通う患者さまの健康が土台になります。自らが実践し、体現することこそが、治未病の本質です。

日本の長寿企業がそうであるように、陶氏診療院もまた、時代の中で着実に歩みを続けられるよう、日々の努力を大切にしてまいります。
2025-10-31