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標的療法と中国医学の帰経
カテゴリー 中国医学
標的療法、ターゲッティング療法(Targeted Therapy、Molecularly Targeted Therapy)とも言い、がん治療の最先端医療として、注目されています。

治療として、標的療法は効果の最大化と副作用を最低まで抑え、理想的な治療として、臨床医が一番望んでいます。現代医療の標的療法は分子標的治療です。がん遺伝子により産生されるタンパク質などを標的として,その働きを抑えたり,「がん周囲の環境を整える因子」を標的にして,がん細胞が増殖しにくい環境を整える治療法です。 ドライバー遺伝子に変異があるがんでは,ドライバー遺伝子を標的とした薬( 分子標的治療薬 ぶんしひょうてきちりょうやく )が有効です。従来の抗がん剤には、がん細胞の活発な増殖を抑える作用の薬がありますが、がん細胞だけでなく、正常な細胞の増殖も抑えてしまうため、副作用がおこります。異常な細胞だけでなく正常な細胞にも攻撃的に作用してしまうのに対し、分子標的薬は、病気の原因に関わる特定の分子だけを選んで攻撃するという特徴があります。

標的療法は副作用はないではなく、分子標的薬がターゲットにする分子は、皮膚組織のなかにも存在するので、薬剤の攻撃を受けてしまいます。 その結果、皮膚の正常な新陳代謝が妨げられたり、皮脂や汗の分泌が抑制されて皮膚が乾燥状態になり、皮膚本来の機能がダメージを受けると考えられています。

標的療法は条件があり、治療できる病気も限られ、費用と有効性の問題で、これから進化を続けていきます。標的療法は治療として、予防のことは考えていない、標的療法があるからといって、安心して生活はできないです。

同じ標的ということは、中国医学中の中漢方薬の帰経です。経絡やツボ療法も帰経の概念で処方をしております。帰経とは、生薬や食材が身体のどの部分に影響があるか、どの臓腑・経絡に入り有効的に働くかを示した道しるべです。先人は漢方薬使用の経験から、身体の経絡、五臓六腑を作用する漢方薬の特徴を理解して、効率よく治療を行います。漢方薬の帰経(標的作用)は、副作用が極端に少ない、効果は抜群と言っても、過言ではないでしょう。

日常生活には、漢方の生活養生版として、薬膳料理の応用が分かりやすいです。春は肝臓養生の季節で、中華の「レバニラ」は療法肝臓に作用あり、春には最適な料理でしょう。疲れた時のスタミナチャージのイメージで、レバーには、帰経は肝、タンパク質だけでなくビタミンB群も豊富です。ビタミンB群は、エネルギーとなる糖質やタンパク質、脂質を代謝する上で欠かせない補酵素です。 鉄分も多いので、鉄分不足からくる疲労感の回復にも役立ちます。夏は「鷄肉とアスパラのスパイシースープ」を勧めます。鶏肉は甘、温、帰経は脾で、食欲のないとき、疲れが取れないときなどにいい;アスパラガスは甘、涼、帰経は脾・肺で、身体の熱を取る、食欲を増進させます。白菜やねぎ、しょうがやとうがらし、帰経は脾で、暑い夏には最適でしょう。秋になると、豚肉の生姜焼きもお勧めします。消化促進と蛋白質を分解促進、ショウガに含まれるショウガオール・ジンゲロールによるもので、体を温めてくれたり胃腸の調子を整える作用があります。 豚肉帰経は脾、腎、胃、肺で、豚肉に含まれるビタミンB1とショウガに含まれるショウガオールとジンゲロールは、体の疲れを回復し、元気な体へと導くスタミナ料理になるのです。冬は鮭の酒粕鍋なら、いかがですか。胃腸を温める作用がある鮭(帰経は脾、胃)と血液の流れをよくする酒粕を合わせた、胃にやさしく、体を温めるメニュー。ブロッコリーを加えて免疫力も高めましょう。

標的と帰経、同じ発想ですけど、違う道が健康に役に立ちます。火の用心と同じで、治療より予防です。普段の健康養生を生かしたら、治療もいらなくなります。
2023-04-20