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免疫治療と体内時計ー現代免疫学が再発見した「黄帝内経」の時間医学ー
がん免疫療法の治療成績を左右する因子として、「治療を行う時間帯」が注目され始めています。
2025年12月9日、The Scientist に掲載された論文「Cancer Immunotherapy May Work Better Before 3PM」(がん免疫療法は午後3時前の方が効果的かもしれない)は、その流れを象徴する研究の一つです。
中南大学の張勇昌(Yongchang Zhang)氏の研究チームは、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を用いた化学療法および免疫療法を受けた進展期小細胞肺がん患者約400名の電子医療記録を後ろ向きに解析しました。
研究者らは、免疫療法の投与時間を午後3時以前と午後3時以降に分け、治療効果と生存期間を比較しました。
その結果、午後3時前に免疫療法を受けた患者は、午後3時以降に治療を受けた患者よりも、平均して約7か月生存期間が長いことが明らかとなりました。この結果は、免疫療法において「何を使うか」だけでなく、「いつ使うか」が治療効果を大きく左右する可能性を示しています。現代医学はここで初めて、「人体は一日の中で同じ状態ではない」という事実を、免疫療法という最先端治療を通して再確認したのです。
概日リズム ―― 中医学ではすでに二千年前からの常識
この研究が示した免疫機能の時間変動は、現代医学では「概日リズム(サーカディアンリズム)」と呼ばれ、2017年にはノーベル生理・医学賞の対象となりました。
しかし中医学の視点から見れば、これは新しい発見ではありません。
約2000年前に著された中国医学の古典『黄帝内経』には、すでに「人は天地の気に応じて生きる」、「臓腑の働きは時刻によって盛衰する」、という時間医学の原理が明確に記されています。
中医学では、人体は単なる物質の集合体ではなく、時間・空間・自然と共鳴する生命システムと捉えます。十二経脈は一日の中で順に旺盛となり、気血の流れ、免疫力、修復力もまた、時刻によって最適な状態が存在します。
「午後3時前」が意味する中医学的解釈
中医学の時間理論に照らすと、午後3時前は脾・胃・肺の働きが比較的充実し、気血が全身に巡りやすい時間帯です。免疫力の中核をなす「正気」が充実している時間に治療を行えば、外来の刺激(薬物・免疫刺激)を正しく活用できるのは、極めて自然な結果と言えるでしょう。
言い換えれば、免疫療法の効果が時間帯で変わるのではなく、人体の受け取る力が時間帯で変わる―― これこそが中医学の基本思想です。
免疫力を高める概日リズムの実践 ―― 中医学からの健康指導
中医学において、免疫力(正気)を高めるための概日リズムの基本は、極めてシンプルです。
早寝:夜は陽気が内に収まり、陰が養われる時間。理想的には19時頃から静養に入り、遅くとも22時までに就寝する。
過午不食:胃腸の働きが最も充実するのは午前中。13時以降は固形物を控え、消化に余計な負担をかけないことで、正気を温存する。
これらは特別な治療ではありません。天地のリズムに生活を合わせるだけで、人体本来の免疫力は自然に高まっていきます。
現代医学が証明し、中医学が完成させてきたもの、今回の免疫療法の研究は、現代医学がようやく中医学の時間観に追いついてきたことを示す象徴的な報告とも言えます。
治療も、健康づくりも、病気の予防も、「時間を無視して語ることはできない」。
中医学はこの真理を二千年前から臨床で実践し、検証し続けてきました。今こそ、現代医療と日常生活の両方において、「時間医学」という視点を取り戻す時代に入ったと言えるでしょう。
2025年12月9日、The Scientist に掲載された論文「Cancer Immunotherapy May Work Better Before 3PM」(がん免疫療法は午後3時前の方が効果的かもしれない)は、その流れを象徴する研究の一つです。
中南大学の張勇昌(Yongchang Zhang)氏の研究チームは、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を用いた化学療法および免疫療法を受けた進展期小細胞肺がん患者約400名の電子医療記録を後ろ向きに解析しました。
研究者らは、免疫療法の投与時間を午後3時以前と午後3時以降に分け、治療効果と生存期間を比較しました。
その結果、午後3時前に免疫療法を受けた患者は、午後3時以降に治療を受けた患者よりも、平均して約7か月生存期間が長いことが明らかとなりました。この結果は、免疫療法において「何を使うか」だけでなく、「いつ使うか」が治療効果を大きく左右する可能性を示しています。現代医学はここで初めて、「人体は一日の中で同じ状態ではない」という事実を、免疫療法という最先端治療を通して再確認したのです。
概日リズム ―― 中医学ではすでに二千年前からの常識
この研究が示した免疫機能の時間変動は、現代医学では「概日リズム(サーカディアンリズム)」と呼ばれ、2017年にはノーベル生理・医学賞の対象となりました。
しかし中医学の視点から見れば、これは新しい発見ではありません。
約2000年前に著された中国医学の古典『黄帝内経』には、すでに「人は天地の気に応じて生きる」、「臓腑の働きは時刻によって盛衰する」、という時間医学の原理が明確に記されています。
中医学では、人体は単なる物質の集合体ではなく、時間・空間・自然と共鳴する生命システムと捉えます。十二経脈は一日の中で順に旺盛となり、気血の流れ、免疫力、修復力もまた、時刻によって最適な状態が存在します。
「午後3時前」が意味する中医学的解釈
中医学の時間理論に照らすと、午後3時前は脾・胃・肺の働きが比較的充実し、気血が全身に巡りやすい時間帯です。免疫力の中核をなす「正気」が充実している時間に治療を行えば、外来の刺激(薬物・免疫刺激)を正しく活用できるのは、極めて自然な結果と言えるでしょう。
言い換えれば、免疫療法の効果が時間帯で変わるのではなく、人体の受け取る力が時間帯で変わる―― これこそが中医学の基本思想です。
免疫力を高める概日リズムの実践 ―― 中医学からの健康指導
中医学において、免疫力(正気)を高めるための概日リズムの基本は、極めてシンプルです。
早寝:夜は陽気が内に収まり、陰が養われる時間。理想的には19時頃から静養に入り、遅くとも22時までに就寝する。
過午不食:胃腸の働きが最も充実するのは午前中。13時以降は固形物を控え、消化に余計な負担をかけないことで、正気を温存する。
これらは特別な治療ではありません。天地のリズムに生活を合わせるだけで、人体本来の免疫力は自然に高まっていきます。
現代医学が証明し、中医学が完成させてきたもの、今回の免疫療法の研究は、現代医学がようやく中医学の時間観に追いついてきたことを示す象徴的な報告とも言えます。
治療も、健康づくりも、病気の予防も、「時間を無視して語ることはできない」。
中医学はこの真理を二千年前から臨床で実践し、検証し続けてきました。今こそ、現代医療と日常生活の両方において、「時間医学」という視点を取り戻す時代に入ったと言えるでしょう。
2026-01-17



