陶氏診療院

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ドクター陶の健康コラム・新連載・vol.16 糖質と砂糖
高陽社の月間コーヨーライフ2021年七月号に、「ドクター陶の健康コラム・新連載」。内容を紹介します。

糖質と砂糖

前回に引き続き、体重管理の話をしたいと思います。今回のテーマは糖質と砂糖です。

「あまくない砂糖の話」(原題:That Sugar Film)という映画をご存知でしょうか?

2014年、オーストラリア映画史上、ドキュメンタリー部門最高動員記録を樹立し、肥満が社会問題化しつつあるオーストラリアで高い関心をもって受け入れられた画期的作品です。

至って健康体の監督兼主演のデイモン・ガモーは、低脂肪ヨーグルト、穀物バー、ジュース、シリアルといった、ヘルシーと信じられているが、実際には大量の砂糖が潜んでいる食品を60日間食べ続ける実験を行いました。その砂糖の量は現代人の平均である、1日にティースプーン40杯。ガモーは元々の摂取カロリーは変えず、また運動も継続していたにもかかわらず、実験が終わってみると、体重は8.5kg、体脂肪は7%増加。腰回りが10cm膨らみ、中性脂肪は倍増し、内臓脂肪が増加して糖尿病の初期症状と診断を受けるほどになってしまいました。

一方、2019年NHKスペシャル「食の起源」では、人類の進化は大脳の進化であると紹介されていました。糖質が手に入るようになったことで、人類の大脳は発達し、進化したのです。間違った方法での長期間の糖質制限ダイエットは、危険だとも言っていました。

この2つの話から、何が分かるでしょうか?それは糖質と砂糖は、同じようで違うということです。確かに糖質には砂糖と同じ成分が含まれています。しかし砂糖は加工された、いわば酸化した糖質であり、体に入ると違った糖代謝をするのです。加工されていない良質な糖質(玄米、生の果物など)は人間の大脳や組織に不可欠です。無理な、そして間違った糖質制限は動脈剥離症などの危険も伴う命取りなものです。

現代人は加工された砂糖を制限することが大切です。ガモーが発見した通り、一見ヘルシーに見える加工食品の多くが、大量の砂糖を含んでいます。糖質制限ではなく、砂糖制限で健康に戻りましょう。
2021-07-04