陶氏診療院

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ドクター陶の健康コラム・連載・vol.30 食べ疲れ
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高陽社の月間コーヨーライフ2022年九月号に、「ドクター陶の健康コラム・連載」。内容を紹介します。

食べ疲れ

7月中旬、私が主催に関わっているイベントがあり、3日連続で豪勢な晩御飯を食べました。海鮮料理、焼肉、ジンギスカン…とたくさん食べた結果、食べ疲れが出て、唇にヘルペスができてしまいました。体には正直に現われました。

中国医学の健康法に、「過午不食」(かごふしょく)があります。1日に摂るべき食事は2食が良いと考えられており、時間も、朝食を午前7時から9時の間、昼食を11時から午後1時の間に摂ると良いとされています。そして、午後1時以降は固形物を食べないようにします(水などの水分はしっかり摂ってください)これにより、体の消化器官に負荷をかけません。

もし午後1時以降に食べると、他の臓器の働きを邪魔して、体の正常な代謝を妨げ、代謝障害(糖尿病や痛風、肥満や癌など)を引き起こしやすくなるのです。

これに関する知見は西洋医学にもあります。日本の大隅良典先生によるオートファジー(細胞の自食作用)の研究(2016年)、アメリカの3名の先生による体内時計の仕組みの研究(2017年)などで、いずれもノーベル生理学・医学賞を受賞しています。このことは、古代中国医学の先進性の証明にもなっていると言えるでしょう。

若い時は1日3食に慣れても、還暦近くなると、新陳代謝が落ち、消化酵素や代謝酵素が減り、食べ疲れが出やすくなります。食べ物を代謝できないと、体の毒となってしまいます。過度な代謝は体を消耗させ、ひいては寿命も縮めてしまいます。霊長類の動物実験でも、過食で体が早く老化し、寿命が3分の1以上短くなったというものもあります。

人間の寿命は本来120歳、125歳だとも言われますが、それが3分の1縮まると80歳程度になります。まさしく今の私達の寿命ですね。

この動乱、不安定な社会にあって、唯一安定的にできることは、自分の健康管理でしょう。生涯健康に、人生を楽しく歩みましょう。
2022-09-03