陶氏診療院

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第25回日本統合医療学会学術大会 一般演題ポスター(大腸がん肝臓転移術後患者回復一例報告)
カテゴリー 論文発表
黄帝内経の健康理念と処方による大腸がん肝臓転移術後患者回復一例報告
  
陶氏診療院院長・医学博士 陶恵栄 副院長 沈 怡

背景と目的

日本人の死因の第一は悪性新生物(30.1%)。癌治療と治療後のケアが社会問題になっている。大腸がんは他のがんに比べると生存率が高い部類に入るが、ステージⅣまで、がんが進行している場合の生存率は10~15%程度と、予後が厳しいことには変わりがない。中国医学の古典医書「黄帝内経」の健康理念と処方を応用することで、「治未病(未来の病気を治療する)」の思想で、大腸がん末期患者を四年十か月指導し、健康維持できることで、現代社会の癌医療問題を解決するヒントと統合医療の未来を探りたいと思う。

現代医学では治療中心に進んでいる。癌難民と言われる現状の解決には、癌患者へのトータル指導と統合医療のケアが必要と思い、癌の主な原因の生活習慣を改善し、理想的な健康生活習慣に戻る指導をし、健康作り統合医療の実践を勧める。「黄帝内経」から生まれた「陶氏療法」を指導して、西洋医学医療を利用しながら、中国医学治未病の応用で、癌患者健康回復事例を報告する。

方法

陶氏療法(陶氏陰陽バランス健康法):中国古典医書「黄帝内経」の中国医学治未病理論に基づいて、健康は陰陽バランスの整えた状態を基準とし、陰陽の三要素:氣・血・水のバランスを取り戻し、調氣・調血・調水・調心の四調法で、無薬で患者を指導する医学博士陶恵栄が創始した健康法だ。

調心 病気の原因を見つけ、患者自身の性格を分析し、自分で治す自信を付ける、自然治癒力を高める

調気 漢方精油を使用カッサー療法週一回、水素吸引毎日1時間する、夜7時に寝るを目指す指導

調血 発芽発酵玄米ご飯を主食とし、玄米酵素6袋/day、FFCパイロゲン900ml/day四か月、以後300ml/dayを維持、過午不食、健康食を取り入れ、トランスファクター6錠/day経口投与で免疫力を向上する

調水 還元水飲用、禁酒禁煙など指導する

陶氏療法により、病気を作る生活から健康を作る生活に切り替える指導、施療の度に血圧、体重、体脂肪、内臓脂肪などの項目チェック

病例

H. Y. 男性、67歳。北海道在住。2013年狭心症でバイパス手術を受け、2016年4月大腸がん摘出手術後、抗がん剤治療中、肝臓転移と診断され、2017年2月肝臓転移癌の摘出手術を受けた。その後の抗がん剤を拒否した。同年2月25日に陶氏診療院で診療し、陶氏療法で体質改善が始まった。便秘症は診療一週間後、起床直後に排便ができ、心理指導で家族関係を改善、奥さんと一緒に食生活を変え、四か月後から四年後の定期CTと血液検査、すべて正常値にもどった。転移や再発も確認されていなかった。好きなジムも毎日通うようになった。ゴルフも年間20回以上になった。夫婦の願いだった新幹線旅行が出来、退院一年後には家族9人でフィリピンセブ島に旅行し、二年目は沖縄家族旅行を実現した。幸せ家族のモデルになった。

体重(kg)は63.5→58.1(四か月)→58.7(現在);内臓脂肪(レベル、やや過剰)13→10(四か月)→12(現在)、体脂脂肪(%)22.0→16.5(四か月)→19.5(現在)、体内年齢(歳)は44→43(四か月)→46(現在)、筋肉量(kg)は47.0→46.33(四か月)→44.8(現在)、基礎代謝(kcal/日)1334→1294(四か月)→1262(現在)、骨量(kg)2.6→2.5(四か月)→2.5(現在)。


考察

大腸がん術後肝臓転移の患者が、現代医療を利用しても、癌の進展を抑えられていないことから、癌に対しての恐怖心が強い。癌の治療だけでは、癌の進展が抑えきれないことから、中国医学の治未病の指導と健康作りのことを理解して、体質改善四か月の努力から、そのまま健康生活を維持することで、生活の質が向上した。再発から四年10ヶ月過ぎても、再発は確認されていない。。

癌が多発している現代環境、癌治療後の二次癌予防、それをヒントにして一次癌予防にも応用できる中国医学の予防医学治未病では、中国医学の教科書の中ではなく、現実社会の実証事例を積み重ね、癌難民が少なくなるように社会貢献ができると思い、西洋医学と中国医学の統合医療は癌治療と療養には有効の事例だ。
2021-12-19